大分岡病院
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大分岡病院

口腔顎顔面外科・矯正歯科における院内感染予防

近年、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌や多剤耐性緑膿菌に加えて、多剤耐性アシネトバクターやカルバペネム耐性腸内細菌科の細菌など世界的に重要な問題となっている中、本院では平成17年12月に「感染対策室(現:感染対策室)」を設置しています。
今後は、これらの薬剤耐性菌について国を挙げた薬剤耐性菌対策が強化推進されていくものと思われます。
このような中、院内感染を未然に防ぐことを第一目標とし、院内感染対策活動を充実していく必要があります。
そこで院内においては、院内感染対策を職員一人一人が理解し、標準予防策を徹底できるよう、対策を実施しやすい環境を整備する必要があると考えています。
さらに、感染症を持った患者さんが紹介されてきたり、他院へ紹介したりということで、感染症の問題は院内だけに留まりません。
そのため、地域の医療機関と連携し感染対策を進めるために、カンファレンスや院内ラウンドを行い、感染対策を推進していきたいと考えています。
幸 直美

治療環境の感染予防

【1】治療室はすべて個室
飛沫核(エアロゾル)が他の患者さんに全く及びませんので、標準予防策には個室は不可欠です。
【2】使用後に使い捨て
患者さんごとにエプロン、うがい用コップ、治療台(ユニット)の枕カバーは使用後に使い捨てます。
【3】治療室の清掃
EPA(米国環境保護局)承認の低水準消毒薬+洗浄剤を希釈→スプレーボトルにて使用し、治療後は患者さんごとに汚染された可能性のある医療表面(治療ユニットなど)や清掃表面(床など)を清掃し、次の患者さんへの感染を予防します。
【4】口腔外バキューム装置
治療中に発生する飛沫核(エアロゾル)を吸引し、その拡散を防止します。
【5】歯科用デジタルX線装置
撮影用インジケーターは患者さんごとに滅菌したものを使用し、フイルムカバーは使い捨てを使用。
歯科用デジタルX線装置は個室ごとに装備されており、治療室内から移動せずに撮影できます。

治療器具の洗浄、消毒、滅菌による感染予防

【1】酵素クリーナーにて血液、唾液などの体液を除去します。
感染物質の乾燥を防ぎ、洗浄しやすい状態にします。
【2】超音波洗浄
手洗い洗浄に比べて、安全で効率的に洗浄できます。
歯科領域での微細な器具には特に超音波洗浄は必要不可欠です。
【3】回転器具(ハンドピース)の内部洗浄
強圧のオイルで感染物質の残存しやすい複雑な器具の内部を確実に自動洗浄します。
患者さんごとに『洗浄・滅菌したハンドピースを使用』することが感染防止には極めて重要です。
【4】高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)
メッキンパックに入れて、高温高圧の蒸気で確実に滅菌します。患者さんごとに滅菌した器具を使用します。
滅菌した器具は清潔な環境に収納しています。
【5】回転器具以外の治療器具は病院の中央材料部にて超音波洗浄→高圧蒸気圧滅菌、EOGガス滅菌をします。

個人用身体防御用具

【1】手の衛生
手洗いには抗菌石鹸とアルコールハンドラブを使用しています。
治療室内の手洗い場は術者、助手側それぞれに装備されており、赤外線センサー式です。
患者さんと患者さんの処置の間には必ず必要です。
【2】マスク、フェイスシールド、防護メガネ
唾液、血液、微生物などを含むしぶき(エアロゾル)は、医療従事者の目、鼻、口に入りますと、医療従事者が感染することがありますので、全ての患者さんの処置に医療従事者が使用します。
【3】手袋
1処置1手袋を実践し、感染の拡散を防止しています。
【4】防御衣(ガウン) 
唾液、血液、微生物などを含むしぶき(エアロゾル)を生じる処置時には患者さんと医療従事者は使い捨てのガウン、キャップを使用し、医療従事者への感染とともに感染の拡散を防止しています。
【5】感染性医療廃棄物の処理
廃棄物は分別。針、メスなどは対穿刺容器を使用し、針刺し事故を防止。